続編 第四話  <No.5>



国内法などでは,通常代替空港までの燃料と30分とか45分とかのHOLDING FUEL (空中待機燃料)を予備の燃料として積む事が義務づけられているが, 長距離の場合はこの HOLDING FUEL をとることはない.しかし,現実にはホ−ルド をすることはあるわけで,その時は代替空港をより近い空港に変更してうかした 燃料や 使わなくて残った CONTINGENCY FUEL をそれにあて,何分ホ−ルドできるか 判断して対処している. さて,後の説明の為にラフにこのロサンゼルス フライトに必要な搭載量をきめて おこう.まず,BURNOFF が110トン, CONTINGENCY を6トン(但し,上限の値) DIVERSION をラスベガスにいくとして6トン, FINAL を4トンとしてCOMPANY FUEL も EXTRA FUEL もゼロとすると,総燃料搭載量は126トンとなる.

この126トンに1トンのエンジン始動,タクシング等の燃料がふくまれている ので,離陸時の総燃料搭載量は125トンとなる.最大離陸重量が370トン としているので,370ー125=245トンが零燃料重量となる.しかし,この 航空機の場合,最大零燃料重量は238トンである.したがって,238+125 =363トンが最大離陸重量となる.比較的に短距離飛行の場合はおおむね離陸重量は 最大着陸重量によって制限されるが,このような長距離の場合ではそのようなこと はおこらない.この例の場合だと,363トンで離陸するとTRIP FUEL が109トンなので (厳密に言えば,離陸重量が軽くなるとTRIP FUELも当然減少するが,ここでは 説明があまり複雑になるのでそれを避ける為に無視することにする) 着陸重量は254トンであり,最大着陸重量の285トンを30トンちかくしたまわる.

これが例えば近距離で TRIP FUEL が50トンぐらいだとすると,離陸重量は335トン に制限されてしまう.なぜなら,335トン以上の重量で飛び上がると着陸時に 最大着陸重量を超してしまうからである.

No.4←BACK   NEXT→No.6