続編 第四話  <No.4>



このロサンゼルスまで飛ぶのに使う110トンを通常 BURNOFFと言い,これはAPU とよばれる 補助動力装置に使う燃料からエンジン始動,それにタクシングに必要な燃料も含めた数字である. 通常はAPU ,エンジン始動,それにターミナルから離陸位置まで移動するのに必要な 燃料をTaxing Fuelと言い,離陸から着陸してエンジンをとめるまでの燃料を Trip Fuel とよんでいる.Taxing Fuel の量は航空機の機種により,空港によりいろいろと違うが 会社の運航規定により前もってきめられている数字だ.大雑把にいって,747クラスで 1トン前後,MD11などで800キロ,AB300だと400キロぐらいに決められている. これらの数字は飛行機が動き始めて,およそ15分ぐらいで離陸が出来る空港の場合である. これが,空港の滑走路と発着場の位置関係で離陸までに Taxing に時間のかかる空港や  常に混雑していて,離陸前に誘導路で出発機が列をなして待たねばならない空港などでは, もっと多くの Taxing Fuel を積むことになる.

予備燃料に関しては Contingency 以外にも,まだ Diversion Fuel と Final Reserve, それに Company Fuel, Extra Fuel がある. Diversion fuel は代替空港へダイバートするのに必要な燃料であり,Final reserve とは文字どおり最終予備燃料,例えば,着陸順番待ちをしているときに残り燃料が これに近くなると,パイロットは管制官に着陸の優先権をリクエストする事が許される事 になっている,なにがなんでも,これだけの量ははタンクにのこして着陸することが望ましい, という燃料である.一つの理由としては燃料計になんらかの問題が発生し誤差などがあった 場合にそれををカバーする為でもある.

Company Fuelとは会社独自の規定で定めている予備燃料で,恒常的に予期されうる 問題点に対処するための予備燃料とでも言えるもので,例としては常に非常に混雑して いる空港へ飛ぶ場合などに予備として搭載することがきめられている.具体的な例としては, ニューヨークのJFK空港への場合は,20分の予備燃料がCompany Fuel として決められて いる事例もある.Extra Fuel は以上述べた予備燃料以外にとる予備燃料で,別名安心料 などと呼ばれるものであるが,最近は天候の予報精度や,電子機器搭載などによる 航法の精度の向上などで,安易にExtra fuel を積むような事は殆どない.会社によっては, この Extra fuel を積むときには,それ相応の理由を当該機長なり,運航管理者が フライトプランの上に書きこまなければならない.

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