続編 第四話  <No.2>



とにかく,民間航空機の運航計画に関してははまず最初に燃料ありきで,航空機の運航可能な 総重量の中から,まず燃料の重量を引き,のこった数字を乗客や貨物などに割り当てる. この乗客や貨物などは残りの数字のなかでも,ほんの小さな一部で,つまり水面上の氷山 の一部分で,当然大きな部分をしめるのが,飛行機自体の重量だ. ごく大ざっぱな数字で説明してみよう. これらの数字は正確なものではなくて,判りやすくするために端数を省略したラフな数字である.

最大離陸重量 370トン のジャンボの運航を例にとる.成田からロサンゼルスに飛ぶのに 110トンの燃料を消費するとする.勿論,この110トンの燃料を積むだけで出発できる わけではない.飛行計画で110トンの燃料を消費すると計算されても,それはあくまで 紙の上でしかにすぎない.飛行計画では常に燃料消費効率の良い高い高度,即ち optimum altitude を巡航することを前提として計算をするが,実際に飛びはじめ, 晴天乱流で大揺れに遭ったりすると高度変更を余儀なくされる.晴天乱流をさけるため に低い高度をとぶと,110トンでは足らなくなる.この110トンという数字をはじき だしたフライトプランは巡航高度の予想の上層風に基づいて計算されているが,この 予想がはずれることも有り得るのだ.予想がはずれて飛行時間が長くなると,当然燃料も 110トンでは足らなくなる.お天気の所為ばかりではなくて,予定して いた高度を他空港から飛び上がった飛行機が占めていると,他の高度を飛ばなければならない. どうしても,その高度をとびたければ出発を遅らせなければならない.そうすると,航空会社 の使命の一つである定時性がまもられない.

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