続編 第四話  <No.1>



話が前後するが,少し前に出発時点で目的地までの必要燃料を搭載せずに出発する運航方式 があることを述べたがご記憶だろうか? RIF (Refile In Flight) とか RECLEARANCE 方式, REDISPATCH 方式等とか言われている方式である.会社によっては,PDA Planning ともいう. PDA とは Preliminary Destination Airport (予備目的地空港)のことで, 以下に述べる説明では仮想目的地空港としている.

えっ,そのような事を料金をはらった乗客をのせていながら航空会社はやってるの?と 驚かれるかもしれないが,答えはイエスである.ただ,これは航空会社やパイロットが 航空法に違反しておこなっているわけではなく,世界的に,つまり,ICAO(国際民間航空 機構)により公認されている運航方式の一つである.

今も昔も,誰が作ろうが,またどのような作られ方をしようがフライトプラン上の諸々の数字 の中でいちばん多くの人が影響を受ける数字は必要燃料搭載量であろう. つまり,これだけの燃料を搭載しなければそのフライトは出発してはならないという数字である. 従ってこの数字如何では貨物を降ろしたり,時にはお客さえも他の会社へ引き取ってもらったりしなければならないので搭載管理課のスタッフが貨物課や旅客課のスタッフを巻き込んでいろいろと調整をしなければならない.この数字をきめるのは,運航管理者であり, そのフライトの機長である.出発前にかならず行われるブリーフイングで,天候やその他 の運航上の諸条件を検討し,その結果として決められるのがこの数字なのだ.機長が 勝手に一人で決める事はできないし,もちろん運航管理者が独自に決めるわけでもない. あくまで両者の合意に基づいた数字である.

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