さて 話がかなり予定のルートよりはずれてきたので 軌道修正をして 話を運航管理者に戻すことにしよう.かっての運航管理者の主たる仕事の一つとして フライトプランを作る仕事はすでに述べてきたが,それと同様に,いやそれ以上に重要 な仕事の一つにフライトワッチがあった.以下に述べることはおもに国際線の長距離 運航の場合であって,国内線などを含むすべての運航に当てはまることではない事を 最初にお断りしておきたい.当時のフライトワッチ業務を大別すると 一つはワッチ,つまり 監視そのもので飛行中の自分が担当しているフライトが正常に飛んでいるという事を 30分ごとに地上にいて確認することであり,またその位置を常時把握しておくことにあった.
他の一つは,そのフライトの Range Control,つまり常に目的地につく為に必要な燃料が 飛行中に確保されているという事をパイロットと共に確認し続けるのである.
ほとんどの方が飛行中の航空機の燃料はそのコックピットにいるパイロットのみの関心事 だと思われるだろうが,事実はそうではない.気象情報をふくめたより多くの 各種の最新データを容易に入手できる地上にいる運航管理者が燃料に気を配る という事に関してはパイロットより有利な立場にいるわけで,故に飛行中の RANGE CONTROL (燃料管理)というのも主な仕事のひとつであった.これは,後述するが特に出発時点で目的地までの必要燃料を搭載せずに出発する運航方式 をとった場合は非常に重要な仕事になる.この運航方式は RIF (Refile In Flight) とか RECLEARANCE 方式,REDISPATCH 方式等とか言われている方式である.