続編 第三話  <No.2>


まず,フライトワッチ業務だが 現在のように コンピューターのディスプレイ上で常に 飛行中の航空機の位置が表示され,その位置情報が常にリアルタイムでアップデートされ ている装置などが存在しない時代のフライトワッチはすべてパイロットが行う位置通報に もとづいて行われていた. AIREP といわれている位置通報を運航管理者がフライトワッチ用のマップの上に記入して 位置通報を行った航空機の現在位置,予定位置を常時把握しておくのである. 何の為に ? 

そう,それは次の位置通報が不幸にしてなされない場合には遭難を想定して捜索活動の 第一歩を発動しなければならないからである.その際に捜索範囲を決めるのを容易にする のがフライトワッチである.つまり,最後に レポ−トされた時の位置と予定位置との間に地域を限定して,行方不明航空機の捜索を 始めるのである.

といっても,位置通報がないからといって直ちに捜索機を出発させる 訳ではない.位置通報のないケースでは,ほとんどの場合が通信機の故障や電波の伝播 障害等が原因になっていることが多いので,これらを想定して決められた手順で位置通報 のない理由を調べるのである.たとえば,HF通信機が故障の場合はVHF通信が可能で ある場合があるので該当機の近くを飛んでいる他の航空機を呼び出してVHF通信で交信が 該当機とできるかどうか試みてもらうのである.世界的な取り決めで,非常用のVHF周波数 である 121.50 を飛行中のパイロットは常時モニターしていなければならないし,また, 飛行中のパイロットどうしの交信の為に 128.95 という周波数も割り当てられている のでHF通信機の故障の場合など比較的簡単に位置通報のできない原因がVHF通信を 通してわかることが多い.

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