続編 第四話  <No.15>



ともかく,斯様なプロセスを経て出発させる見込みがついたとしよう.ここで, 当然関係する管制機関に飛行計画のあらましをATC FLIGHT PLANという様式 で出発30分前までに提出しなければ,出発する際に管制機関からの許可がでない. その際に目的地を仮想のサンフランシスコにするのか,本来の目的地である,つまり 最終目的地であるロサンゼルスにするのか,みなさんは疑問をもたれるかもしれないが, これにはロサンゼルスがこのフライトの目的地とされるのである.しかも,すでに述べたが, あくまで合法的にとぶのであるから,搭乗されているお客のみなさまには,目的地 がサンフランシスコに変更されましたなどとは知らせない.お客様はおろか, 客室乗務員にさえ言わないこともある.概ね,説明するのが面倒だ,と言う事もあるし, 説明しても正確に理解してもらうのが難しいという点もある.

ただ,管制機関に提出する際のATC FLIGHT PLAN のREMARKのところには RIF TREVR KSFO と記入することになっている.これで,管制機関はこのフライト はロサンゼルスに行く前にTREVRでサンフランシスコへ目的地を変更をする可能性が あるということを知らされる事になる.この場合のRIF は Relearance In Flight の 略でフライトの途中の決定ポイントTREVRで燃料の残量によってはサンフランシスコに ダイバートをする可能性がありますよ,と管制機関に予告をしておくのである.

この PDA PLANNING 方式で飛行しているフライトがTREVR上空にさしかかる前に この会社のロサンゼルスの運航管理者(乃至は,このフライトのこのセクターを 担当している他の空港にいるかもしれない運航管理者)がカンパニー・リクリアランス (いろいろ違う呼び方はあるが)を飛行中の機長に送信する.というのも,航空法には 運航管理者の同意なくしては機長が飛行ルートを勝手に変更してはならないという条項が あるからだ.運航管理者にとっては,これがフライトワッチでの RANGE CONTROL での大きな仕事の一つなのだ.TREVR上空にきて,もし燃料が19トン残っていなければ, このフライトはサンフランシスコへダイバ−トすることになるが,あくまで, 目的地上空から代替空港にダイバ−トすることと同じ扱いになる.

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