続編 第三話  <No.6>



国内線などで航空交通管制部の管制官により,常時レーダー画面で 位置を把握されている場合などには位置通報を行う必要はないことに なっている.

レーダーで管制を受けている場合など,画面から機影が消えた時点で 即遭難ということになり,救難体制にはいり捜索がはじまるが,一般的 に位置通報のみで管制をうけている洋上飛行の場合などの手順を簡単に お話ししょう.

UNCERFA (Uncertainity phase, 不確実な段階)
ALERFA (Alert phase, 警戒の段階)
DISTRESFA (Distress phase, 遭難の段階)
と呼称される3段階の対応をとることになっている.

UNCERFA は航空機からの位置通報が予定の時刻を30分過ぎても ない場合,到着予定時刻から15分(プロペラ機は30分)過ぎても 到着をしない場合などに発動される.対応は主として前述の通信状況の チェックが主で徹底的に実施される.

ALERFA はUNCERFA発動後,30分を経過してもその航空機の状況を つかめない場合に発動される.また,航空機が着陸許可を受けた後, 5分経過しても着陸をしない場合などにも発動される.緊急通信 [PAN, PAN, PAN]を受信したとの連絡があった場合も含まれる.対応は UNCERFAの通信状況のチェックを拡大し,その航空機の到着範囲内 にあるすべての関係機関による捜索に拡大される.

DISRESFA はALERFA発動後,60分を経過しても航空機の状況が 不明な場合,搭載燃料が安全に何処かに到着するには不充分だと 思われる場合,[MAYDAY, MAYDAY, MAYDAY] の遭難信号を受信した との報告があった場合などに発動される.羽田空港にあるRCC (救難調整本部)の総合判断により捜索機が派遣されたり,救難活動が 実施されることになる.以上は捜索救難に関する概略であり,実際は もっと多岐にわたり詳細なものである.

筆者の経験では UNCERFA のケースはかなり何度も経験したが,殆どの 場合は通信上の問題で,洋上長距離通信にはHF電波が使われる関係で 太陽黒点の活動期などは特に要注意であった.

(第三話終り)

No.5←BACK   第四話へGO!!