第二話 <No.9>


INSは非常に高い精度をもっているが,それでも長距離飛行では生ずる誤差が時間と ともに蓄積される.しかし,太平洋横断の長距離でも,最終的な誤差は数マイルと いわれている.その誤差も途中少しでも地上電波局の電波をキャッチできる空域を 飛行すると自動的にその電波を受信して位置を確認して,それまでに蓄積されて いる誤差を消していく. 

何事もそうだが,特にINSは最初が肝心である.なぜならば,慣性航法はどの方向に どれだけ移動したかという情報を記憶して,それをある出発点から積み上げていく 航法だから,最初が間違っていれば,あとすべてが間違いの連続したものとなって いくからだ.

最近では,あまり INS という言葉を聞くことがない.今は INS つまり, Inertial Navigation System というよりIRS 即ち Inertial Reference System とよばれ,航空機のコンピュータによる Flight Management System (FMS)の 一部となっている.

(第二話終り)
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