日本の空からの玄関 昔羽田,今成田 <No.6>



当時の飛行計画書(以後,フライトプランと言う)といえば,現在のフライトプランに比べれば 実に多くの項目があった.まず紙のサイズは A3 ぐらいで, それに現在の表計算のように縦, 横に罫線が数多くひかれ,沢山の項目があり,それらの表計算でいえば セル にあたる部分 に手書きでびっしりと多くのデータを書き込んだものだ.ざっとそれらの横にならぶ項目を あげてみれば,

地点名/航空路/最低許容高度/高度/風向/風速/温度/真方位/偏流修正角/真針路/偏差/磁針路/ 自差/羅針路/真対気速度/風力成分/対地速度/区間距離/積算距離/区間飛行時間/積算飛行時間/ 区間消費燃料/積算消費燃料/....

などなどで,まだこれに飛行中に書き込む予定到着時刻や実到着時刻/実消費燃料/ などの空白の  セル が横に並ぶ.縦には,地点名などが並ぶのだが,これは当然長距離となると長くなる. 当時のフライトプランの必須項目であったのに今のフライトプランで目にしないものに  PNR (point of no return) と PET (point of equal time)がある.前者は,その地点を越えて しまったら,何が起きても前へ進むのみ,後者は出発地と目的地の間の時間的に丁度中間地点 であるというデータであった.単純に考えれば,PET は 2点間の地理的に丁度真ん中じゃ ないのか? という感じがするが,風が追い風か向かい風かによって大きくこの地点は 変わるのである.

当時としては洋上を飛行する際のクルーにとって持っていなければ ならないデータであったろう.今でもまれに フライトプランの上に これらに準じた項目を 見る事もあるが,それは概ね双発機で長距離を飛行する場合に限られるようである. 双発機で長距離を飛ぶ際には ETOPS (extended twin engine operations)というルール があるので,それに基ずくもので,昔の PET 等とは似て非なるものである. この ETOPS に関する説明はまたの機会にゆずるとして,フライトプランに話をもどそう.

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