気象現象と安全運航 〜その2〜
 また別の例としてはこんな話もある。初期の飛行機は着陸の際に、雲底の高さが充分にあり、視程は充分に長い距離を必要としていた。この、雲底の高さと視程の条件を、専門用語では「最低気象条件」と呼んでいる。飛行機の性能や着陸支援装置の精度が良くなるに従い、高さや距離の値が小さく、言い換えれば天気環境が悪くなっても着陸が行えるようになった。以前には余り問題にされていなかった気象現象が、その悪い 天気環境に伴っている時には、高性能の飛行機に悪さをする。殊にジェット・エンジンを使っている飛行機には影響が大きかった。
 これは「風シア」と呼ばれるものである。詳しいことは別のところで改めて話すことにするが、最低気象条件に関わりなく、これが存在するときには飛行機の高度調整に苦労する現象である。この存在予測はそれほど重要視されていなかった。しかし離陸 ・着陸時に突然風シアに遭遇すると墜落の恐れもあり、事実これが原因の航空事故もたびたび起こっていた。この現象遭遇する高度が低いほど、飛行機の高度調整は困難であ るが、最低気象条件が小さい値になるとそれだけ危険度が増すことになる。
 この辺りの詳しいことは「風シア」のページで述べることにする。

 このように天気、難しく言うと気象現象、と航空とは切り放せない事柄と言える。パイロットを目指す者、あるいは航空界に携わろうと志す者は少なくともこの関係、航空における気象の重要性を心得ておく必要がある。ただ気象学者や研究者ではないので、学問としてではなく、航空にどのように関わってくるのか、そしてその対処方法はどのようになっているのか、それを誰がやっているのかなどを知ればよいであろう。

 その手助けとしてこのシリーズが役立つことを願っている。
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