タービュレンスで負傷!
 思い出したようにこんな見出しのニュースがマスコミに現れることがある。もちろん 飛行機での中の事故である。それまで穏やかに何事もなく飛行していて、乗客もゆっくりと読み物を読んだり、スクリーンに映し出される映像を楽しんでいた。また客室乗務員も乗客の求めに応じて飲物のサービスなどで通路を往き来していた。
 そこへ突然前触れもなしに突然の激しい揺れが起こった。シートベルトを外していた乗客は座席から投げ出され、通路を歩いていた客室乗務員は上に跳ね上げられ天井に頭を打ちつけ、あるいは座席の角に体が打ちつけられるなど、機内は悲惨な状況に変わった。
 機内の警告灯にはシートベルト着用の表示が点いたが、すでに一連の悲惨事が起こった後で手遅れであった。

 20年ほど前の筆者が航空会社に在職中にも同じような事があり、その対策のために研究会を作り、いくつかの提言をした。(この話しはまたいずれ別の機会にする。)その後しばらくの間は大きな事件はなかった。
 しかしタービュレンス遭遇事件が最近暫くぶりに数回続いた。(この中に、パイロッ トの操縦ミスのものがあったが、これは別の問題である。)以前筆者等が行った提言の中にも「飛行中はシートベルトを緩めても良いが、外すことはしない方がよい」との項目があった。また「客室乗務員も揺れの予想されるときは座席に着く」という項目も盛り込まれていた。
 操縦席でも予想していなかったタービュレンスの場合は仕方がないのだが、あらかじめ予報に含まれていて、警告灯が点けられている時でも負傷者が出ることがある。このような事故の殆どの場合は、シートベルト着用警告を軽視した乗客か、着用の点検中の客室乗務員あるいは警告灯点灯中に乗客に呼ばれて席を立った客室乗務員が、そのタービュレンスによる事故の憂き目に遭っている。
 その教訓のためか、最近では揺れによるシートベルト着用警告の際には「客室乗務員も座席に着くので、シートベルト着用の確認は乗客各自でされるよう」にとの案内をする所も出てきた。
(C)2001 KATOW-Kimio

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