ヒコウキとテンキは親戚? 〜その2〜
 それでも中には「全天候型飛行機というものがあって、どんな天気の中でも飛べるのではないのか?」と問う人がある。確かに初期の飛行機には、骨組みが木製で、外板が紙や布で貼られている航空機があった。(もちろん今でもこの種類の飛行機は「人力飛行機」などとして存在する。)しかし、今では通常の雨風には耐えられる構造の飛行機が殆どである。そのような飛行機でさえも、むしろそのように頑丈な構造であることが災いして、かえって思わぬ天気現象に遭遇することになり、航空事故を起こしたことがある。
 昔は雨に濡れたり、強風に曝されたりする、という理由で飛ぶことをしなかったのに、現在では平気で飛ぶことのできるようになった飛行機だからこそ発生した、航空事故の原因として数えられるようになった現象がある。こういった現象は、悪天候とい う理由で飛ぶことのなかったために、それまでは遭遇しなかった。当然ながら、専門家の間でさえそのような現象は知られていなかった。
 このような新発見あるいは、再認識される天気現象は、航空事故の原因究明の段階で解明されることが多かった。ただそれまで知られていなかったために、当初はその提起に対して疑問視したり、賛成しない専門家も出たりした。
 しかしやがて、気象学者・研究者によって、それらは気象現象として解明され、その発生原因が判明して行く。そこでそれらの気象現象の発生予測が、ほぼ正しく行われるようになった。一方飛行機の製造技術や操作方法も進歩・発達した。このために以 前は飛行に重大な障害になっていた気象現象にも耐えられ、あるいは回避できるようになった。この結果、これまで事故につながったと思われた気象現象を原因とする航空事故は減少した。そして全天候型飛行機ならどんな天気の時でも怖くない、と過信されるようになった。

 このように飛行機が安全に飛んでいるのは、舞台裏で専門知識を駆使して支援している者がいて、その努力で成り立っている。しかしながら、一部の心ない人々は、そのことを知らずに、専門知識を必要とする運航体制を、機械と非専門家による省力化を推進して、表面上の費用削減を求めた。これは経営上は正当であったろうが、航空機運航の立場からは必ずしも適切でない部分を残していた。
(C)2001 KATOW-Kimio

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