台風来襲時の運航例  〜その2〜
  台風では中心付近の風速が34ノットを超え、タイフーンともなれば64ノット以上の風になっている。このため機種によっては、飛行場に駐機しておくことは損傷を招くことになりかねず、危険でもある。このため運航責任者は、機材を安全な場所に避難させることも考えなければならない。
  一口に避難させるといっても、まず避難先の確保が必要である。避難先の飛行場がこれから台風の通るところでは意味がない。避難先に向かう途中に台風が頑張っているのでも困る。同じようなことは他の運航責任者(他の航空会社)も考えるから簡単ではない。避難先のない機材はその飛行場で充分な安全対策を講じながら保管しなければならない。機材を動かすこと(空輸)自体にも、飛行の手続き・機材移動のための準備・乗務員の手配など、手間も時間もかかる。また原因となる現象が去った後は、次の運航の遂行に合うように、即ち利用者の要望に応えられるように、速ろやかに機材を元に戻すなど、適正な配置もしなければならない。これら一連の事柄を実行するのは大事業である。この大事業の実行が妥当に遂行できるか否かを決める最大の鍵は、台風自体の規模・進行経路・進行速度の適切な予測である。一言でいうと「台風予報の正確さ」である。
  暴風圏の広さ・進行経路・進行速度により、飛行場が暴風・強風に曝される時間帯や風向などが算定される。それにより欠航の対象便の選定・避難のための最終出発時刻の決定・駐留させる飛行機の駐機方法の計画作成・復帰する飛行機の帰着予定時刻の算定などの作業が行われる。予報が正確であるほど、これらの作業によって作成された予定が円滑に実行される。
  この作業に使われる予測は、原則的に気象庁の発表する台風情報である。この情報では予想位置が確率円として円形で示されていて(以前は扇形で示された時期もあった)、特定の地点(この場合は飛行場)のどちら側を、どの時点で通ることになるかは判らないことがある。特定の利用者に取っては自衛のために、これらの項目をもとに独自の判断をしなければならないことがある。その判定は難しい作業であるが、最終的には責任者による判断により決断が下され、それによって作業手順が確定して行く。
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