台風来襲時の運航例  〜その1〜
  幾つもの異なった機種の飛行機を多数所有している運航責任者、すなわち航空会社における台風対策の光景を一つの例として想定してみよう。ただし筆者が在籍していた頃の情景を主にしていて、現在のような情報伝達の手段が確立してからは、実務面では変わってきているだろうが、本筋には大差がないと思う。

  それでは話を進めよう。初めに述べたように、あなたが居るのは多くの運航便を抱えている空港(飛行場)である。ここに向かっている台風があるとする。台風の中心部は12時間以内にはこの空港地域に接近する予報が出されている。 暴風圏はそれよりは早くに到達するはずである。
  運航責任者はこれよりも前から台風に関する情報は得ており、その時どきに対応した処置を行って来た。台風はその飛行場を直撃する、あるいはそれに近い進路を取ることがいよいよ確実になった。暴風圏の到達は予報から計算するとあいにくと夕方であり、通過し切るのは翌朝未明になると推定されている。すでにその飛行場といくつかの飛行場との途中は、台風の暴風圏によって塞がれている。
  目的飛行場の気象条件が不良のためや途中の飛行条件が不適当なため、すでにいくつかの欠航便が出ていて、その分の飛行機は先刻から停留している。その飛行場に夕方以降に到着、または到着予定の時間割になっている便もあり、さらにどれだけの便を欠航とする必要があるか決めなければならない。これから欠航とされる便に使うはずであった飛行機は、それぞれの飛行場に留まることになる。そのほかにも元もとその飛行場で夜を過ごすことになっている飛行機もある。
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