台風を個々に識別する  〜その2〜
  それまでにも、また今でも日本では台風に名前を付けるということはあった。 ただそれは、国内で台風による大きな災害が発生したときに「室戸台風」とか「狩野川台風」「伊勢湾台風」あるいは「洞爺丸台風」の様に、後で参照し易いように被災地帯や災害対象に関連する名称をつけた場合のみであった。
  猛威を奮う台風(アメリカはハリケーン)に女性の名前だけを付けるのでは、「女性」に対する差別になるということでもあり、10年余り前から男性と女性の両方の名前を付けるようになった。あらかじめ男性と女性の名前を交互にアルファベット順で並べた表を、四組ほど作っておく。始めは第一組の先頭から使い始め、次の組に続けていく。表の途中でその年の台風が終わって、年を越したら前年に終わった名前の続きから使い始める。最後の組が終われば最初の組に戻る。ときどき名前の入れ替えが行われたが、大きな災害をもたらして印象が悪いという理由のようであった。
  国際的に通報されている気象情報や気象ファックスなどでは、この名前も使われていたが、日本国内向けの気象情報には余り現れなかった。しかし「ジェーン」だとか「キャスリーン」「キティー」という名前に苦い記憶を持つ人もいる。
  たまにこの表にない名前が現れることがあった。前に触れたように、日付変更線の東側でハリケーンとしての名前が与えられ、越境してきたものが改名しないで台風の仲間入りしたものである。
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