悪視程の中での着陸  〜その1〜
  飛行機の進入・着陸や離陸という運航段階では、視野の広さを示す値によって制約を受ける。このことについての話をしておこう。

  滑走路を使う飛行機、あるいは着地標識に向かうヘリコプターなどは、滑走路や着地標識あるいは目処とする目標を直接目視する必要があり、認識するために必要な最短距離が決められていた。

  ここで使われる値の一つは、これまでに度々引用されてきた「視程」が使われる。ここでもう少し違った見方をしてみよう。通常視程の値を求めるには、決められた観測地点からの視野の広さを、前にも話したような方式で測定して、最短視程あるいは卓越視程として定める。

  しかしこの方法だと、広い飛行場でそれぞれの滑走路における、飛行機の着地点での視野とは異なることもある。飛行機を運用する当事者にとって実際に必要な値だからと言っても、いちいち必要な着地点に行って観測してくるわけにもいかない。

  また視野の広さとか視程というものは、空気中の透明度によって決まるということも話した。それならば空気中の透明度を測定できる機器を工夫すれば良いことにもなる。その要望を果たすための機器として「透過率計」と称する測定装置が開発された。この装置についての詳細な説明は省くが、このような機器だと滑走路の着地点付近に設置して、遠隔観測が可能である。

  この装置で得られるものはそこの空気の透過率であるが、これを視距離に換算して「滑走路視距離 Runway Visual Range - RVR」と呼んでいる。原則として、計器着陸装置の設置された滑走路にはその着地点横・逆側の着地点横に配置される。また、滑走路の長さによっては、さらに滑走路中央横にも増設されている。

  悪視程の中で着陸を行うには、該当する滑走路を示す灯火類の状態によって決められた「最低気象条件 Minimum Weather Conditions 」によって制限される。この条件に使われる気象の項目は、雲底の高さまたは決心高・視程またはRVR である。それぞれの項目についての解説はここでは省くが、視程とか RVRという値が含まれているといっておく。
(C)2001 KATOW-Kimio

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