視程を悪くする自然現象 〜その2〜
「黄砂」は中国大陸の黄土高原で巻き上げられた砂じんが、遠くまで運ばれて、再び地表に降って来るものである。空中高いところにまで巻き上げられ、遠くまで運ばれるには、砂じんの乾燥度と上空に吹く強風の条件がうまく合う必要がある。日本に到達するに、この条件から春先になって現れる現象である。季節感を感じさせるものの一つではある。しかし発生源からの方角が違えば、日本で認識される季節とは異なった時期に現れる。大気中をまとまって漂いながら移動してくるので、空中で遭遇したときにも地上における砂じんと同じにエンジンへの吸い込みや、窓ガラスへの擦り傷などの影響が出る。
「ちり煙霧」は風じんや砂じんが納まった後でも空中に残って漂う、細かい粒子の集まりである。
「煙」は燃焼により発生した粒子が空中に漂っている現象である。工業地帯や冬季の大都市などで顕著である、霧と共存するとスモッグと呼ばれることがある。農業地帯でも稲藁や収穫後の残り物を燃やして発生することがある。これの影響で高速道路における自動車事故が報道されたことがあった。また飛行場付近における大規模な焚火や野焼きで、離着陸時の航空機の運航に支障が出たこともあった。地域によっては山火事の煙が影響することもある。1997年から1998年にかけて東南アジアで広範囲に広がった森林火災による煙は、航空機運航だけでなくいろいろな社会活動にも支障をもたらしている、というニュースが新聞・テレビを賑わせていた。
「降灰」は火山の爆発・噴火による火山灰が空中を浮遊しながら降下してくることを言っている。これも砂じんなどと同じような影響がある。火山灰に含まれる化学物質には、機体やエンジンの腐食の原因になるものがある。
これらの自然現象は(中には人工的な現象もあるが)どれも今までによく知られているものであって、特別に異常と呼ばれるものではない。しかし視程の低下をもたらすだけでなく、航空機の運航にはいろいろな面で影響を受けることのある気象現象である。このような気象現象を取り纏めて新たな分類をしてみたいと考えている。
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