視程を悪くする自然現象  〜その1〜
この辺で「視程」を悪くする自然現象として、霧の他にはどんなものがあるかを見ておこう。霧については前の方のページですでに取り上げてある。

  「雲」は「霧」と同じように空中に漂う細かい水滴の集まりであるが、地表面からは離れている現象である。水滴の大きさにより、黒ずんだ雲に見えることもある。また気温の低い場所、つまり高い高度では水滴ではなく、氷晶や氷の粒による雲もある。まれに山腹に懸かる形で雲が浮かんでいるときがある。
そのとき山腹の雲中にいる人には霧の中に包まれたと感じる。航空機で空中にいるときに雲に出会うと、ちょうど人が山腹で霧に出会ったときのように視野を遮られることになる。空中では地上の視程とは区別して「飛行視程」と呼んでいる。飛行体自身が移動して雲との相対位置は時々刻々変化するので、それにつれて飛行視程も当然変化する。計器飛行方式によらないでも飛べるためには、決められた値以上の飛行視程が維持された状態にあることが必要になる。

  「雨」や「雪」などの降水現象も視程を悪くする原因に数えられる。これらは視程を悪くするだけでなく、別の面でも航空機の運航に悪影響がある。

  「地ふぶき」というのは一旦地面に積もった雪が風に吹き上げられる現象で、積雪地帯の飛行場では珍しくない。航空機の操縦席の高さより高くまで達しているか、低いところだけに収まっているかで運航への影響は違ってくる。次に挙げる現象にも当てはまるが、気象観測の立場で行われ通報される「高い・低い」の境は約 2メートルである。

  「風じん」や「砂じん」は地面などの塵や砂が風によって吹き上げられた現象である。この場合にも航空機の操縦席の高さより高いか低いかで、視程によ る運航への影響は違うが、エンジンに吸い込むことを考えるとさらに難しい問題がある。
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