鉛直流の影響 〜その2〜
  翼に空気が当たる角度(仰え角)は、翼弦線と気流とで作る角度である。言葉の意味は図を見れば判る。仰え角が変化すると揚力はどのように変化するのだろうか。一般に仰え角を増やしていくと、揚力係数、したがって揚力、はそれに比例して増加するが、ある仰え角になると急激に揚力が減少する。この角度は揚力限界角であり、失速角と呼ばれている。一般的には、仰え角が 0から増加して失速角になるまでは、揚力はほぼ一定の割合で増加する。(WS-19図左下)
  上昇流シアの場合に翼に当たる空気流(仮に相対的気流と呼ぶ)は次のようになる。そこまで持続してきた対気速度に対応したベクトルと、上向きに増加した上昇流分のベクトルを合成したベクトルとして考えられる。つまり、相対的気流の方向は、上昇流の増加がなかったときよりも上向きになる。すなわち仰え角は増加し、その仰え角が失速角に達するまでは揚力係数は大きくなるので、揚力は増加することになる。結果として、翼は上昇してそれまでの飛行面を維持できなくなる。これを解消するためには翼の角度を変えて、相対的気流を受ける角度、すなわち迎え角を減らすようにすれば良い。(WS-19図)
  下降流シアの場合には、仰え角の減少による揚力の減少として説明できる。揚力係数が小さくなり、その結果として飛行面から下にそれていくので降下するモードとなる。そこで翼弦線を上に向け、相対的気流に対し迎え角を得るように調整すれば良い。(WS-19図)
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