向かい風・追い風シアの影響 〜その2〜
  ここまでは固定翼の特性を考えての理屈の話で、通常は安定する前に人的な要因が加わる。すなわち、操縦者による修正がされるので話は変わってくる。操縦者は飛行高度の急激な変化に対して、機体を当初の飛行高度に戻そうと機首(ピッチ角)を下げる。また対気速度の増加分を減少させ、もとの対気速度に戻そうとするために、推力(エンジンパワー)を絞る。もとの飛行面に戻ってからは、その飛行面を維持するためにピッチ角やエンジンパワーを再び調整する。

  一方、追い風シアというのは、追い風成分の増加または向かい風成分の減少の状態である。向かい風シアの場合とは逆に対気速度が減少し、それに伴って揚力が減少する。それにしたがい飛行高度はそれまでより下方に変位して行く。しばらくすれば、飛行高度が下がっていることと対地速度の変化以外は、追い風シアに出会う前と同じ状態になる。
  この場合には飛行高度の修正をするために機首を上げ、推力を加えて対気速度を増加させ揚力を増やせばよい。ところがピッチ角を上げると抗力も増え、減速の傾向となり、推力の増加の効果が出るまでは揚力の増加も遅れる。
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