航空機に対する風    〜その1〜
  われわれが普段「風」と呼んでいるものは、ある一つの場所を通り過ぎて行く空気の動きである。地上の一点に立って、その上を通った空気がどの「方角」からやって来て、一定時間内に「どれだけ」流れて行ったか、ということを数値的に測り、二つを組み合わせて表している。後で話すのに判り易いように「風ベクトル」と呼ぶことにする。(WS-1図)
  それでは空中にいる航空機にとっての風とは、どのように考えたら良いだろうか。それは、この航空機を包み込んでいる空気の塊を考え、それが地表面の一点に対して動く、その動きを風と考えればどうであろう。そして、航空機がその空気の中で止まっていれば、空気の動く速さと同じ速さで、しかも動いて行く方向も同じに、言い換えれば風に乗ってその航空機は動いていることになる。その種類の航空機の例としては気球だろう。従って気球に乗った人には風が感じられない。だから気球に付けた旗はヒラヒラと動いていないで、ダラリと垂れ下がっているはずである。(WS-2図)
(C)2002 KATOW-Kimio

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