雷雲からの降水現象  〜その1〜
  対流雲の発達段階の内で成熟期には、凝結または昇華の過程を経て水滴や氷晶ができ始める。それらの水滴や氷晶がお互いに衝突・付着などをしながら合 併して次第に大きく成長する。これらが地表に向かって落下する現象を降水現象と呼ぶ。降水現象には二種類あって、液体状の雨と、固体としての雪やひょうなどである。
  一般に対流雲からの雨は、しゅう雨と呼ばれる状態で、比較的短時間の間に激しい勢いで降る。運航中の航空機にとっては、視界が制限されるだけではなく、降水の規模にもよるが落下してくる水の(衝突による)圧力と、それに伴う空気の下降流によって、下向きに力を加えられた状態になる。このため結果として揚力の減少となる。特に推力を弱めているため揚力が小さくなっている着陸時や離陸時に、前にも話した下降奔流などに遭遇すると、航空機の種類によっては地表面に叩きつけられる危険性も否定できない。
  大量の降水がジェットエンジンの中に吸い込まれ、一時的にエンジン内の燃焼が止まったこともあった(Flameout)。このようなことの起こる可能性のあ るのは、しゅう雨性の降水の起こり易い気象環境であり、雷活動などはその典型的なものである。
  氷晶単体あるいはその集合体となって降る雪も、対流雲からのものはしゅう雪として分類される振る舞いになることが多い。視界が制限されることなど、しゅう雨の時と同じような状況が起こる。
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