「着陸のために南側から接近していた。滑走路の反対側の端からさらに数キロメートル北のかなたに、積乱雲が視認でき、その存在は認識していた。飛行場の風の報告(注−当時は風の観測測器はこのときの着陸側である南端の一個所だけであった)では着陸機に対して追い風成分であった。風速は数ノットで弱く、これは運航上許容可能な妥当なものであった。 |
「滑走路端にさしかかる前、高度 100フィート(30メートル)ぐらいで突然
飛行機の姿勢が乱れ、操縦環その他の機器を必死に操作して、ようやく姿勢と高度を保てた。その後辛うじて(着陸復行のため)上昇させることが出来た。 |
「後で知ったが、自分が着陸を開始しようとした頃には、滑走路の反対端
(北端)では強い向かい風成分(北寄りの風)の状況が認められていたが、(観測測器が設置されていなかったため)測定はされていなかったとのことである。これが進入中に見た積乱雲からの初期突風というもので、そこへ無防備で(初期突風襲来を知らずに)飛び込んで行ったことになったわけである。通
常の着陸手順でも、知らずに風シアに直面すると大変な目に会うということである。 |
「その時は眼の前に格納庫か何かの建物が迫り、墜落するのではないかと思った。これが多分自分(当該パイロット)で経験した、低高度での風シアの最大
のものではなかろうか。この時は腕が良かったというよりは、運が良かったとしか言いようがない。」(丸カッコ内は筆者注。) |