航空機の運動との関連  〜その2〜
  初期突風を吹き出しているような積乱雲の下をくぐり抜けようとする場合には、この偏平な冷気のなかを数キロメートルに亘って通ることになるかも知れない。その場合には積乱雲の手前の冷気の中では向かい風成分の中を飛び、積乱雲の下を過ぎてからは追い風成分の中を飛ぶことになる。
  これらいずれの場合でも吹き出しと周辺の暖気との境目で、風向・風速の変化すなわち風シアによる影響を受け、また場合によっては乱気流現象に遭遇することもある。また、初期突風のドーム中を横断するときは、途中で逆向きの風成分に遭遇することになる。
  下降奔流は初期突風と構造的には似通っているわけだが、その空間的な規模が小さく、寿命が短いにも拘らず、一時的に出される強さが大きい。このためもあって空気の動きも速く、すなわち風速も速くなっている。その分航空機の受ける影響には激しいものがある。
  特にマイクロバーストはその大きさが小さいため、100ノット(分速 3キロメートル余り)で飛ぶとしても 1分前後で通過してしまう。ということは、これだけの間に数十ノットの向かい風成分から、同じく数十ノットの追い風成分に変動することが有り得る訳である。 1分ほどの間にこれだけの風速の変動があっては、航空機の急激な運動の変化に対して、パイロットの操縦技術がついて行かなくなる可能性がある。マイクロバーストの強さが強いほど向かい風成分と追い風成分の差が大きくなり、困難さは増してくる。
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