初期突風・下降奔流など ・・・ 下降奔流(Downburst)〜その2〜
  この下降流が中心に有って、地上付近では空気が堆積し、円錐状にいくらか高圧の空間を形成する。下降してくる空気は円錐の斜面を滑り下るように、次第に水平向きの流れに変わりながら四方に広がる。流れ下る空気の量は無限ではないため、寿命は比較的短時間で、後の補給がなくなると周囲の空気に阻まれて、めくれ上がるように上向きに流れ、そして逆戻りをする。前にも表現したようにちょうどリングドーナツのようになる。
  この下降流も地表付近が静穏ならば鉛直に降りてくるが、風のあるときでは下降流の中心線は傾いて降りてきて地表にぶつかるので、リングドーナツの形も変わってくる。
  そのつもりで観察すると、航空機事故とは関係ないところでも、この下降奔流が次々に見つかった。むしろ飛行場という限られた地域に一致する割合(確率)の方が少ない。その大きさにもかなりの幅があることも判ってきた。そこで広がりの大きさ、言い換えれば寿命の長さ、によって大きく二つに分類された。それによれば広がりがせいぜい 4キロメートル(2マイル半)までで、寿命も10分足らずのものをマイクロバーストと呼び、それ以上に達するものをマクロバーストと呼ぶことにした。ただいずれの場合にも空中から落ちてくる(まさに落ちて来ると呼ぶのがふさわしい)空気の塊は、地表近くに達するまでに予測・発見することはなかなか困難である。むしろ地表で広がってからそれと判る場合の方が多い。
  命名者フジタの説明によれば、4キロメートルという基準は単に赤道一周の一万分の一の規模から決めた、ということである。特に理論的な意味を持つ数値ではないという。
  この構造モデルによって提唱された現象も、当初は賛成する人も余り多くなかった。今では考えられないが、(学問の世界では珍しくもないこととはいえ)気象学者の中でも懐疑的で、逆に否定する人がかなり有ったと聞いている。その反面、最近では気象現象の絡んだ航空機事故というとすぐ「マイクロバーストではないか」という、何とかの一つ覚え的な人もいる。
(C)2001 KATOW-Kimio

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