雷活動の対流運動と航空機 〜その3〜
当初、高度 300フィート(約90メートル)における秒速12フィート(約 3.7メートル)以上の下降流が「ダウンバースト(Downbust)」と定義され、後に大きさにより二段階に分けられた。ダウンバースト・マイクロバースト・マクロバーストなどの発見・命名は、米国シカゴ大学教授のフジタ(Fujita)によるものである。筆者は「ダウンバースト」の和訳名として、バーストに流れの奔流と言う意味を込めて「下降奔流」の語を当てて見た。ついでながら「ダウンストリーム(Down-stream)」や「ダウンドラフト(Downdraft)」の語が「下降流」と呼ばれている。
これらの初期突風・下降奔流・マイクロバースト・マクロバーストについては、次のページでもう少し詳しく説明することにしよう。
次に消滅期の対流運動であるが、この時期には雲中の流れは下降流だけになったといって良い。強い乱れは殆どなくなっているが、やはり雲中への突入は避けておいた方が安全であろう。雲底の下の地表付近においては、下降奔流の出現がまだあると思っていた方がよい。特に積雲の雲頂部と雲底に近い部分との間がくびれになっていたり、雲底であった部分がすでに消滅してしまったりしている場合でも、周囲からの空気の補給による対流が行われていて、それが下降流の源となっている場合がある。安全な飛行のためには、このような領域へは安易には進入しないように心掛けるべきである。
(この話続く/2001.8.2)(C)2001 KATOW-Kimio
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