雷活動の対流運動と航空機  〜その2〜
  地表に沿って流れ出した冷気の層の厚さは、数十メートルから200〜300メートルになるものまである。この現象は気象学の教科書にはファーストガスト - Firstgust(初期突風)」として説明されていて、積雲から派生する副産物としては常識的な現象となっている。この冷気はわずかではあるが気圧を上昇させ、「雷雨性高気圧」というメソスケールの現象を演出する。しかしそれまで地表に接していた暖気を押し上げて流れが進むので、境目の両側では空気の流れに差が出来て、いわゆる風シアを生ずる。このため航空機がこの境目を通過すると風シアの影響を受ける。
  この初期突風などは比較的穏やかな現象である。時には大きな冷たい空気の塊となって、地面に打ち当たり周囲に飛び散って広がる。そして一瞬の後には、空気の流れは殆ど何も残さずに消え去ったと表現できるようなことが起こる。とはいえ地表面にはその痕跡が何らかの形で残り、時には人間社会へ影響を及ぼしていることがある。航空機に対しても重大な影響を与え、時にはそれが原因の一つとなって墜落事故を起こしたこともあった。
  空気が周りに飛び散ると表現したが、実は四方へ早い水平流となって吹き出したのである。また地表面からの高さにより水平流の速さが違い、上の方ほど速さが遅いので、空気の塊の落下点を中心にした、リングドーナッツ状の渦となって広がって行く。ドーナッツの最終的な大きさにより、マイクロバーストとかマクロバーストとか呼ばれている。(1994年 9月に埼玉県の中学校付近で発生し、飛び散った窓ガラスで多数の中学生が怪我をした事件を記憶している人も多いことだろう。)
(C)2001 KATOW-Kimio

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