雷活動の親雲   〜その3〜
  ところで粒子が落下する際には、粒子表面から蒸発あるいは昇華が起こり、水蒸気に変化する。今度は蒸発または昇華の潜熱分の熱を周囲の空気から奪い、気温が下げられることになる。(この過程は、条件付き不安定大気中を上昇する飽和空気塊が振る舞う、凝結熱あるいは昇華熱の発生とはちょうど逆である。)この空気は密度または比重が増えるので重くなり、下降することになり下降流となる。
  また粒子は落下する際に、表面に接した空気粒子を引きずっても行く。この引きずられて下向きに動いて行く空気の流れも下降流である。
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体験的ヒント
  水分粒子の流れによって周辺の空気も一しょになって動き、それが空気の流れになって動くことを体験することがある。シャワー室がビニールカーテンなどで囲ってあるとき、勢い良くシャワーを出すとそのカーテンが身体の方へ寄ってきて、ときには身体にまつわりつくことがある。このときシャワーによる水滴の流れと共に空気も動き、身体に吹き付けるのが体感できるが、その後を周りの空気が埋めようとして、カーテンまで動かしているわけである。雲の中では落下する粒子により、この現象が大規模に起こっているのである。
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  回りくどい話だったかも知れないが、これらの理屈が後での話に関連してくる。いずれにしても、この段階になると積雲の中では上昇流だけでなく、下降流が混在し始め、地上では降水現象が現れ始めることになる。
(C)2001 KATOW-Kimio

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