雷活動の親雲   〜その2〜
  2、成熟期
  上昇空気塊による積雲内への充分な水分の供給と、条件付き不安定状態が上層にまで持続していれば、積雲の成長は継続する。雲頂は氷点( 0℃)層を越えてさらに上に伸び、凝結水滴は過冷却水滴となる。この過冷却水滴が氷結したり、また水蒸気が直接昇華して氷の粒になる。条件が良ければ結晶状態になり、「氷晶」と呼ばれるものになる。
  この時期になると空気塊の上昇速度に違いが生じ、多種類の水分つまり水滴や氷粒・氷晶(まとめて粒子と呼ぶ)の混在することにより、互いに衝突して一緒になったりするようになる。一旦粒子の大きさに違いが生ずると、その傾向はますます助長され、大きな粒子はますます小さな粒子を吸収して行く。その結果上昇流の力だけでは、大きくなった粒子の重量を支えきれずに落下し始める。
  これらの水分粒子がこのまま地表に達すれば、雨・雪・あられなどの降水現象になる。途中でさらに強い上昇流に出会えば、逆に吹き上げられてしまい、互いにくっつき合うなどしながら、上昇流に対抗して落下するだけの重さの粒子になるまで成長させられることになる。
  粒子が落下したり、吹き上げられたりするという上下運動は、場合によっては何回も繰り返される。粒子が液体の場合には、粘性や表面張力といった物理的な性質の制約から、水滴の大きさに上限があり、直径が10ミリメートル近くになると分裂する。
  その一方、固体すなわち氷の粒子の場合には、上昇流によって持ち上げられながら、粒子の周囲には過冷却水滴などが付着して氷の層が加わる。これが「ひょう」と呼ばれるものである。上昇流の強さの分布が一様ではないので、落下と上昇が繰り返され、その度に氷の層は重なって幾重にもなる。上昇流の強さによってはかなりの大きさにまで成長することがある。ゴルフボールやピンポン玉大は序の口で、拳大のものも日本各地で確認されている。また積雲の成長寿命が長いアメリカの中西部では、フットボール大のものも降ったと言われている。このようなものに直撃されては、命が幾つ有ってもたまらないだろう。
(C)2001 KATOW-Kimio

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