雷活動の親雲   〜その1〜
  雷活動と航空機の運航との関わり方を知るために、まず雷活動の親雲の発生から消滅までの各段階について、簡単に振り返っておく。ここでは後で必要な事柄だけに重点を置いた話をするが、ここまでの節で話をした安定性と、大ざっぱな対流雲発生の知識がここでは役だって来る。

  1、発生期
  湿った大気が、熱的に条件付き不安定な重なりになっているとする。振る舞いのきっかけは別に考えることにして、とも角地面近くの下層の空気塊が上昇を始め、その上昇が空気塊の飽和(湿度100%)に達する高度(凝結高度)まで続いたとする。
  大気が条件付き不安定であるから、その後は空気塊の中の水分(水蒸気)を凝結させながら上昇を継続する。凝結した水分は水滴の集まり、雲を形成する。これが積雲の始まりである。この段階で雲を作る水滴の大きさは、まだ非常に細かく均一である。そして積雲内全体の空気の流れは上昇傾向である。というよりも上昇流域全体が、均一な水滴でできた雲である。
  上昇して積雲になった空気塊の後を埋めるため、積雲の下では周囲から空気が集まる。(これを「収束する」という。)その後を補うためには積雲周辺の空気が下降流を作る。この時期の積雲を囲む空域には、積雲内の上昇流と、積雲外側の下降流が存在し、対流が生じているということである。そこでこの過程による雲を対流雲と呼んでいる。つまり積雲は対流雲の一種である。
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