温位
  ここまでに話した通り、気圧と気温を合わせて上層・下層の空気の温度を比較し、下層よりも上層の温度が高ければ安定性には問題ないことが判った。しかし隣り合わせ同士の層について一つずつ較べていては能率的でない。そこで必要な全ての層において、測定された気圧と気温のそれぞれの組み合わせから、基準とする気圧まで加圧するか、減圧して得られる温度に直しておけば比較が簡単である。
  その基準の気圧として1000ヘクトパスカルが採られ、温度系として絶対温度系、単位としてはケルビン(K)が使われているものを「温位 (Potential Temperature)」と定義している。当り前だが温位の大きな値ほど温度が高いということになる。そして一般的にいえば、この温位の値が上空に向かって大きくなって行く。
  高度に対する気温の変化と温位の変化の関係は反対の傾向である。気温の変化がない(等温)とか、逆に暖かくなっているようなときは、温位の変化は大きい。それに反して高度の増え方に比して、気温の下がり方が大きいときには、温位の変化は少ない。極端な場合には、温位が逆転している。上空の温位の値の方が低いようなときは大気層は不安定であり、それを解消させる大気の運動が生ずるはずである。

  この温位という概念は便利で(別のページで紹介することにしている)航空に於ける重要な現象の予知にも応用することが出来る。
(C)2001 KATOW-Kimio

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