熱気球と熱的安定

  空気の塊が上昇する話をしたので、ここで唐突だが航空機の仲間である「熱気球」を引き合いに出して見ることにする。
  大きな袋状にした気球の中に熱い空気を入れて大空に浮き上がって行く。熱い空気は気球の外側の空気よりも密度が低い、または比重が小さいので軽くなり、浮力ができる。上昇するに従い気球内の圧力も下がり、それにつれて温度も下がる。この下がり方は乾燥断熱減率に相当した値のはずなので、周囲の空気の気温の低下量よりも大きい。
  気球内部の温度は70ないし100℃を保たせるとのことであるから、上昇による温度の低下を防ぐにもバーナーで空気を熱し続けなければならない。上昇をやめて水平に動いている気球でも、気球自体の重量のほかに、搭乗者の体重なども支えなければならないので、それに相当する余分の浮力も必要である。

  気球内部の空気の温度の方が、気球外皮の素材による制限は考慮されなければならないが、周囲の空気の温度よりも高ければ高いほど浮力が大きい。このため、周囲の空気の温度の低い季節、秋や冬の方が、熱気球を飛ばすには効率が良いであろう。
  ここで注意することは次のようなことである。自然界では空気の塊の温度の方が周囲の空気の気温よりも高い内は上昇を続ける。しかし熱気球の場合は、気球内の空気の温度が周囲の気温と較べてかなり高温になっていても上昇が止まっていることがある、ということである。
  筆者は熱気球に付いて門外漢であるので、詳しい操作方法は知らないが、空気の塊の温度による浮力を類推する話題として取り上げて見た。
(C)2001 KATOW-Kimio

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