熱的安定性とは  〜その1〜
  雷雲としての対流雲ができるためには、熱的に不安定な状態が存在しなければならない。熱的不安定についての理屈、堅苦しく言えば理論も数多くの教科 書で述べられているが、ここでは直感的に理解すれば良いので、これから話す身近かな例から類推して納得して貰えば幸いである。

  普通よく例え話で使われるのが、「起き上がりこぼし」と呼ばれる「だるま人形」である。今は見かける機会が少なくなったようだが、底に錘が入っているので、少しくらい横から突っついてもすぐにまっすぐに戻る「だるま」である。それくらいでも元に戻る性質があるのだから、頭の方を下にして逆さに立てようとしても、すぐにひっくり返って元に戻ってしまう。つまり錘のある方を下にするのが座り心地のよい、ということである。
  また別の例として、「水」と「油」を一緒に器に入れた場合の類推を使うこともある。世間では仲の悪い間柄のことを「水と油のように混じり合わない」などともいうたとえ話に使うくらいだから、一しょに器に入れられた二つの液体も、普通なら時間が経つと「水」の上に「油」が浮いて、二つに分かれて終わることが多い。なぜなら、これは「油」の方が「水」よりも軽いからだよ、と説明されて解ったことになる。

  ここに持ち出したどちらの例でも、重い方が下側になって落ち着くことが判った。これは地球の引力または重力の掛かり方は同じでも、地球に引っ張られる力の大きさに違いが出来るせいである。
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