不安定ということ
  日常生活の中でラジオ・テレビの天気予報や気象情報を聴いたり見たりしていると、その解説の中に時々次のような文言が出てくるのに気がつくと思う。
「上空に寒気が入って来て大気が不安定になり雷が発生するので、これから夜にかけて一時的に激しい雨の降ることが予想されます」
  「大気が不安定になる」とはどんなことか。「上空に寒気が入る」と大気がなぜ不安定になるのか。「不安定になると雷が発生する」のはなぜなのか。気になり出すと次から次へと疑問がわいてくる。航空に関心のある人だと、そのような状態の時に空を飛ぶとどの様な影響を受け、その対応はどうしているのか、などと気にかかって来るだろう。
  気象学の教科書には「安定」とか「不安定」とかいう、いわゆる「安定性」についての記述があるので、気象学を専門に勉強するのなら、学問的な立場からの理論を学ぶのは良いことである。ここではそこまでの必要はないが、雷雲となる対流雲の発生環境を知っておくために、身の回りに見られる事柄を例に取って話をしておくことにする。

  このコラムの読者の中には、どこかへ行くために飛行機には乗るが「揺れなければいいがな」とか「墜ちることはないだろうな」と思っている人たちも多いと思う。乗るだけの人たちも「揺れるのはこの様な時だけれど、それを避けるにはどうするとよいか」を考えながら飛行機を飛ばしている人の居ることを実感して貰うために、これからの話もぜひ知っておいて欲しい。
(C)2001 KATOW-Kimio

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