稲妻、夕立、突風  〜その1〜
  真夏のとある一日、朝からよく晴れて陽射しも強く、気温は30℃をかなり越したと思われる昼下がり、雲が現れたなと思っている内に入道雲にまで発達する。その内に稲妻が走り、雷鳴が轟き、続いて夕立がやってくる。時にはひょうが混じることもある。一時間もしないで雨は止み、青空も回復して涼しくなる。
  また、真昼の陽射しが峠を越したものの、夕暮れにはまだかなり間のある夏の午後、遥かに遠雷が聞こえ始める。まだ辺りにはいくらか暑さの残る中を急に涼しいが強い風が吹き抜ける。雷鳴は次第に近づきながら、稲妻による明るさを一瞬もたらす。あわてて干し物を取り込むが、しかしそのまま雨にもならずに雷様御一行は通り過ぎてしまう。

  この様な情景は大衆小説や映画・TVドラマの中に(もちろん文学的にも洗練された表現で)描写されていることがある。しかし南北に長い日本であるから、全ての地方で同じように見かけるわけではないかも知れない。また、都会の巨大ビル内の事務所で忙しく立ち働いている者にとっては、戸外における天候の変化などには気がつかないこともある。
  ところが日常生活において買い物や散歩に出たり、時には仕事のために外出して戸外に居たり、さらに仕事自体が野外で行う職業であればなおのこと、このような天気に遭遇することは珍しくない。突然の予想しない雨に雨具の用意もなく、ズブ濡れになったという苦い経験をした人も多数あることだろう。時には登山や野球・ゴルフなどの屋外スポーツの最中、雷電に打たれ、いわゆる落雷によって命を落とされた、という悲劇も少なからず報道されている。
(C)2001 KATOW-Kimio

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