〜その1〜

  ここでちょっと息抜きをかねて、向かい風シアと追い風シアの感じを疑似体験する方法を教えよう。それとは知らずに、すでに体験している人は多いはずである。二通りほどあるが、何れも航空機の速度と風速の大小関係とは違い、逆の速度関係となる場合があり、その違いを勘定に入れれば感覚的に感じ取れることと思う。

  一つは電車などの乗り物で経験することである。乗り物に乗ったらすぐに座席に座って動かないでいる人には判らない話だろう。筆者もよくやることだが、扉の閉まる前に取り敢えず近くの扉から車内に入り、それから車内を通り抜けて移動したり、降りた後の都合を考えて遠くの扉にまで移動する人は、同じことを多分経験しているだろう。電車の先頭方向(進行する向き)に移動するのか、逆に後尾に向かうのかで違うし、また電車が発車するときか、停車するときかによっても違う。 まず先頭方向への移動で、移動中に電車が動き出したとする。その時には体は電車の前進方向の加速度に抵抗するのか、歩こうとしても思うように前に進まない。電車の速度が一定になると歩行は楽になる (WS-14図)。そうこうしているうちに電車は停車のために速度を落とし始める。今度はマイナスの加速度のために、体は今までの速度を保とうとして(慣性力)、歩く足よりも先に体が前に進み、前のめりになってしまう。電車全体が空気の塊で、線路上を走ることが風に相当し、自分の体はその空気の塊の中を移動すると考えれば、この場合は、発車のときは追い風シア、停車のときは向かい風シアに相当すると見ることができる。(WS-15図)
  今度は後尾に向かって歩いているときであるが、発車の場合は向かい風シア、停車の場合は追い風シアに相当すると思うと納得できるのではなかろうか。
(C)2001,2002,2003 KATOW-Kimio

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