〜その2〜

  もう一つの疑似体験も似たようなことである。「動く歩道」と称して、工場のベルトコンベアのような施設がある。知っている人には珍しくもないが、その様な施設が近くにない人のために説明しておく。人が二人並んで乗れるほどの幅のあるベルトが数十メートルの距離を動いている。ほとんどの町でもデパートやスーパーマーケットなどでは見かけるエスカレータの段差をなくして水平にし、材質もゴムなどに変えたものと思えば良い。今では国内・海外のいくつかの空港などにも設置されている。
  これもおとなしく乗っているだけのときには余り感じないが、それでもはじめは乗り降りのときに戸惑うことがある。乗り口では、前に向かって動いている所に足を乗せるわけで、馴れていない人は体がついて行かずに、足だけ先に進むので尻餅をつきそうになる。また降り口では、足をうまく前に出さないと、足がつっかえて体が前のめりになってしまう。(WS-16図)
  この場合乗り口では追い風シア、降り口では向かい風シアに相当する類推と考えてはどうだろうか。ただしこの動く歩道ではベルトの動きと反対の方向への利用は禁止されているので、乗り口での向かい風シア、降り口での追い風シアに相当する体験はできないのが残念である。
  この場合にも、急ぐためにベルトの上でも歩き続けようとすると(勧めるわけにはいかないが走ったりすればさらに)、乗り口での追い風シア、降り口の向かい風シアに対応する影響が大きく出るのでより良く判る。
(C)2001,2002,2003 KATOW-Kimio

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