続編 第四話  <No.9>



では この間,運航管理者と機長は茫然とあちらこちらのせめぎあいを眺めている のかというと当然そうはいかない.いくらかでも,必要な搭載燃料の量を 安全運航を脅かさないようにしながら,減らせないかと安全と経済性のせめぎあい がはじまる.

最初に考え得ることは目的値変更である.最終目的地に着くまえに,どこか途中の 空港に降りて燃料の補給をすることを考える.いや,これは昔の話であって, 今は机上の空論ならぬ,机上のフライトプラン上でそれをやるのである.

事実,昔は ホノルルへも無着陸でいくのは無理で,途中のウエ−キ島によったり, 北太平洋では,途中のコ−ルドベイなどに寄港したものだ.それを,いまでは, 前述のRIF (Refile In Flight) とか PDA PLANNING 方式等 とか言われている方式でフライトプランをつくり,あくまで,航空法にのっとり 合法的に搭載燃料量をへらすのである.

中部太平洋を横断してロサンゼルスに飛行する場合,好むと好まざるに拘わらず 航空管制の為に決められているルートに乗って, サンフランシスコのすこし南から西海岸上空にはいり,南下してロサンゼルスへ 向かうことになる.シベリア上空を横断してヨ−ロッパへ飛行する場合,好むと好まざるに 拘わらず,目的地に着く前に幾多の空港上空,乃至はその近くを飛行することに なる.たとえば,ロンドンにいく場合はオランダのスキポ−ル空港付近を飛行 することになるし,ストックホルムにいく場合は,やはりその手前のヘルシンキ 上空を通過することになっている.ローマなどへ飛ぶ場合は手前にウイーンが ある.逆に,たとえば北米から成田,関空に 飛行する場合はどうかといえば,やはり,北海道の南の海上を南西に向けて 飛行しているので,千歳空港の南を飛行していることになる.

したがって,ロサンゼルスの場合を例に説明すると,机上の空論ならず, フライトプラン上でサンフランシスコを目的地として,フライトプランを 作り直すことになる.単純に言って,サンフランシスコからロサンゼルス へは約40から50分ぐらいかかるので,当初のロサンゼルスへのプランからサン フランに目的地を変更することにより,およそ,4−50分位の燃料を搭載しな くてすむことになる.

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