Typhoonの親類  〜その2〜
  ところで、よく新聞やTVのニュースで「猛烈な強さのハリケーンがアメリカ南部を襲い、北上を続けている。このため南部の州では暴風による家屋の被害や大雨による洪水が起こっている。」などと報じられることがある。しかし考えてみれば、「ハリケーン」という呼び名そのものが熱帯低気圧の最上級のものに与えられる名称であるから、「猛烈な強さ」の嵐であることは当然である。日本で言うような、初期の段階の台風に相当する時点ではまだトロピカルストームなどと呼ばれているわけで、日本のマスコミではまだ報道されるに到らないのであろう。そこで「ハリケーン」になった段階で(日本では)ニュースの表舞台に登場することになり、ハリケーンと台風とは規模が違うものだ、との誤解になる。
  この辺りのことについて、マスコミからは明確な解説はされないで、嵐についた名称だけで報じられている。その結果、冒頭の挿話にあるような行き違いや、両者は規模の違う嵐なのである、といった誤解が生ずることになるのではないだろうか。そもそも日本語で言う「台風」の定義が、タイフーンという言葉の紛らわしさと共に、他の言語での定義と違うのが原因である。
  一方、地域的な境界を越えて隣の地域に入った場合、例えば太平洋の真ん中の日付変更線を越えたときには、呼称を変えることがある。例えば、太平洋のハワイ付近で発生した熱帯低気圧で、ハリケーンにまで成長したものあるいはその前の段階のものでも、日付変更線を越えて東半球に入った途端に台風として登場することがある。
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