乱気流の強さ 〜その2〜
 一方、強度については「もっと客観的に判定できる方法がないだろうか」との議論もある。現在の航空機には、事故原因解明に使うことを目的として、フライトレコーダーが取り付けてある。この中に垂直加速度の記録がある。(さらに水平加速度の感知器も設置されている。)強い乱気流遭遇後に調べてみると、垂直加速度の変動が大きいことが多い。そこで、この加速度の値を即時に見られる表示器を設置することを提案する者もある。
 他方乗客・乗員らがケガをしたり、そこまでは至らないが気分を悪くした乱気流遭遇の場合でも、ときには加速度の変動記録が余り大きくないこともある。これは加速度記録が感知部の設置されている場所での加速度の値だからである。航空機の機体は強度を保つためにむしろ剛体ではない。このため外力による機 体の変形の程度が場所により違うので、乱気流中の渦により受ける影響は機体の各部分で異なる。さらに航空機の運動は重心の回りの回転もあり、部分的に 大きな強い変位となることがある。言ってみれば、一カ所の加速度計の表示だけでは、乱気流の強度の代表としては不十分なのである。これに対処するには 機体の複数部位に感知部を設ける必要があり、それに応じた表示器も設けねばならなくなる。しかし操縦席の計器盤にこれらを追加するということなどは非 現実的だろう。
(C)2001 KATOW-Kimio

←BACK   NEXT→